例えばおもてなしの中の設え、清潔さの部分に関しては、ファイブスターにもミシュランにも泊まりましたが、私が知りうる限りの世界各国のどのホテルと比較しても、圧倒的に日本のホテルのレベルは高いです。それを黙々と支えてくれる方たちがいらっしゃることは、本当にありがたいですよ。欧米では、そういうものを感じないですし、中国は基本的に人に奉仕するという価値観がありません。ここまで頑張る人たちがいるというのは日本の強さで、観光立国としてブレイクダウンしていけば本当に根幹の部分です。
外資系のホテルは、どんなに厳しくても基本的に総売上の何%かを必ず修繕予算として積み立てています。パーセンテージも日本のホテルよりも高いですね。これをやらないと、あっという間に競争力が落ちるからで、一番落ちるのは清潔感です。物が傷んだらもう駄目ですから、予防的にお金をかけて常にやっていく必要があります。予防的メンテナンスがどれだけ大切か、今は少しの違いですが来年、再来年には大変な差になっていきます。競争力がなくなった時にそれは明らかにお客さまにも伝わります。
確かに見物の方もたくさんいらっしゃっいましたが、正直こんなに早く大理石が傷むとは思ってなかったのでびっくりしました。予算は組んでいませんでしたが、とにかくやってくれと。あるお客様がロンドンのホテルのロビーで撮った写真をハウスキーピングに渡して「この光沢だよ、すごいと思わないか?この輝きを見た時お客様は何ていうと思う?それをお客様に届けたいんだ」と伝えました。そういう予防メンテナンスは、そこから始まりましたね。
御社の社内報をお送りいただき驚きました。メイドさんたちが明るいし、企業のトップが現場に行って一緒になって笑っている。本当に羨ましいですし、どうしてこんなに明るくてさわやかなのか不思議です。普通、メイドさんにお話を聞くと「私のフロアはアウト部屋が多くてステイがあれば楽なのに」というように愚痴が多いですよね。社内報の写真を拝見する限り、そういう感じがまったくなくて、みんなで楽しくてやっている。様々なイベントを見ても、みんな仲間でこの会社はファミリーだというのがすごく伝わってきて、どうしたらそうなるのか逆に伺いたいくらいです。
最近は、お客様から多くのコメントをいただくのですが、客室清掃の方へという印象に残るメッセージをいただきました。『本当に綺麗なお部屋をありがとう、手を付けるのがもったいなくて本当にもったいなくて…。こんなに綺麗にしていただいて、次の方もまた泊まるお部屋ですよね、その方の為にも大切に使わせていただきました』と書いてありました。本当にありがたいと思いました。そういう想いでお客様はいらっしゃいます。皆さんのお仕事を絶対に見ていてくれるし、感じていてくれると思います。この仕事に誇りを持って、これからも頑張ってほしいですね。